本ページは、AWS に関する個人の勉強および勉強会で使用することを目的に、AWS ドキュメントなどを参照し作成しておりますが、記載の誤り等が含まれる場合がございます。
最新の情報については、AWS 公式ドキュメントをご参照ください。
生成AIを活用した会話型アシスタントです。 AWS re:Invent 2023で発表されました。 Amazon Q には大きく分けて2つの種類があります。
Amazon Q Developerは、従来のCodeWhispererから発展した形で提供されており、単なるコード補完ツールではなく、AWS環境全体での開発・運用業務を支援する包括的なAIアシスタントとして位置づけられています。2024年4月30日より、Amazon CodeWhispererはAmazon Q Developerに統合されました。
参考: Amazon Q Developer と Amazon CodeWhisperer
本記事では、主に Amazon Q Developer について詳しく解説していきます。
Amazon Q Developerを理解する公式ドキュメントは次のとおりです。
Getting started with Amazon Q Developer - Part 1(Youtube)(0:19:07)
Getting started with Amazon Q Developer - Part 2| Amazon Web Services(Youtube)(0:23:19)
デモで学ぶ!Amazon Q Developer エージェントで実現する開発効率化(AWS-27)(Youtube)(0:41:00)
Amazon Q Developer Workshop - Building the Q-Words App
2025年4月より、Amazon Q Developer で日本語サポートが開始されました。これにより、さらに使いやすくなりました。
参考: AWSブログ>Amazon Q Developer の言語サポートが拡大 (日本語を含む)
Amazon Qは便利なサービスですが、生成AIを利用する上で以下の点には気を付けてください。
まずは、Builder IDを取得して使い始めるのがおすすめです。
Amazon Q Developerで送信されるデータには2種類あります。
Amazon Q Developerの無料利用枠(Free Tier)では、デフォルトでオプトアウトされていませんので、データが送信されます。

または、settings.json に以下の設定を追加してください。
{
"amazonQ.telemetry": false
}
※ (参考)settings.jsonの場所
Windows: %APPDATA%\Code\User\settings.json
( C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Code\User\settings.json)
Linux: $HOME/.config/Code/User/settings.json
macOS: $HOME/Library/Application Support/Code/User/settings.json

または、settings.json に以下の設定を追加してください。
{
"amazonQ.shareContentWithAWS": false
}
その他IDEについては、AWSドキュメントを参照してください。
# 現在のステータスを確認します
q telemetry status
# Telemetry status: enabled
# 無効化します
q telemetry disable
# ステータスを確認します
q telemetry status
#Telemetry status: disabled
# 無効化します
q settings codeWhisperer.shareCodeWhispererContentWithAWS false
# 設定を確認します
q settings all
#codeWhisperer.shareCodeWhispererContentWithAWS = false
自然言語での質問に対して、AWSのベストプラクティスや実装方法を回答してもらうことができます。
主なユースケースは以下の通りです。
IDE上にインストールした拡張機能や、AWSマネジメントコンソールでも質問ができます。
AWSマネジメントコンソールでは右上のアイコンからチャットを始めることができます。

Lambda関数作成の例:

読み取り専用アクセスのみしかないため、さすがに直接書き込んではくれないようです。

トラブルシューティングの例:

Amazon Q Developer によるインライン提案の生成
IDE上でリアルタイムにコード補完や提案を行ってくれます。コメントや関数宣言をもとに、適切なコードスニペットや関数本体を生成してくれます。
VSCodeでのコード補完例:

AWSマネジメントコンソール上のLambdaでもAmazon Q によるコード補完を利用することができます。 コード補完が動いていなかったら、左下にある「|| Amazon Q」をクリックして「Resume Auto-Suggestions...」からコード補完を再開できます。再開していれば、左下の表示も「▷Amazon Q」となっています。

Lambdaでのコード補完例:

Lambdaコンソールでは、1行ずつ出るようです。

Amazon Q Developer を使用した IDE でのコードの変換
既存のコードを新しいバージョンや別の言語に変換できます。特に以下の変換に対応しています。
/dev コマンドを使用することで、自然言語での指示から新機能の実装を支援してもらえます。 単純なコード生成だけでなく、複数ファイルにまたがる機能開発も可能です。
ただし、/devと入力すると以下のように表示されるので、/devコマンドは不要で、用件をチャットで入力するだけでよいと思います。

/dev DynamoDBとAPIGatewayを使ったユーザー管理APIを作成してください

このように作成されます。


表示しているファイルか、選択したファイルのソースコードに対して、ユニットテストを作成してくれる機能です。 具体的には、以下の作業を行ってくれます。

作成されたテストを実行してみます。
coverage run -m unittest test_fizzbuzz_v2.py

カバレッジレポートを出力すると、69%でした。
coverage report

コードのレビューを実施してくれる機能です。/reviewで実行できます。 日本語で回答してほしい場合は、あらかじめ「日本語で対応してください」としておくとよいです。

※ソースコードにコメントを書いたためか、レビュー指摘されそうな問題を意図的に含んだことがバレてます。

Amazon Q Developer を使用したドキュメントの生成
ワークスペースで実行することで、READMEなどを作成してもらえる機能です。
/docと入れると、どんな種類のドキュメントを作成するか聞かれますので、ほしいドキュメントを回答します。
例えば、以下のリポジトリの内容でDeveloper Guidesを作成してもらうとこのようなものが出力されます。
git clone https://github.com/aws-samples/amazon-bedrock-workshop.git
こちらもあらかじめ「日本語で対応してください」としておくと日本語で出力してくれます。

コマンドラインで Amazon Q Developer を使用する
コマンドライン用のAmazon Qを利用できます。 2025年9月時点でサポートされているOSは、macOSとLinuxです。WindowsでもWSLを使うことでインストールすることができます。
VSCodeのDev Containerでも利用することもできます。以下のリポジトリにソースコードがおいてありますので参考にしてください。
https://github.com/ishiharatma/devcontainer-amazon-q-cli
インストールに成功すると、次のような画面から利用することができます。

終了するには、次のコマンドを入力します。
/quit
他のAIコーディングエージェントと同様に特定のファイルにコンテキストを書いておくことで、Amazon Qが読み取り、書かれた内容に従った動作を行ってくれるものです。
次のコマンドを入力すると読み込まれているコンテキストファイルを表示することができます。
/context show
JSONファイルに指定しておくことで、Amazon Q CLIがMCPサーバを利用できるようになります。
{
"mcpServers": {
"mcp-server-fetch": {
"command": "uvx",
"args": [
"mcp-server-fetch"
]
},
"AWS Core MCP Server": {
"command": "uvx",
"timeout": 60000,
"args": [
"awslabs.core-mcp-server@latest"
],
"env": {
"FASTMCP_LOG_LEVEL": "ERROR"
},
"autoApprove": [],
"disabled": false
},
:
}
}
Amazon Q Developer CLI がカスタムエージェントを発表
2025年7月31日に発表された、Amazon Q CLIで独自のエージェントを作成できる機能です。カスタムエージェントとは、特定のユースケースやワークフローに合わせて設定できるAIアシスタントです。
JSONファイルでエージェントの動作が指定可能です。JSONファイルは、.aws/amazonq/cli-agentsの中に格納されます。
設定されているエージェントのリストは以下のコマンドで確認できます。(最初は何も登録されていないので、一覧に表示されません)
/agent list

エージェントの構成要素は、Gitリポジトリか、以下のコマンドで確認します。
/agent schema

Amazon Q CLIでチャット(q chat)を開いてから、以下のコマンドを実行します。
/agent create --name example-agent
エディタが開きますので、必要事項を設定し、ファイルを保存します。 ファイルは、~/.aws/amazonq/cli-agents/example-agent.jsonとして保存されます。
ここでカスタムエージェントの一覧を表示すると作成したカスタムエージェントが確認できます。

一度、チャットを終了(/quit)します。
カスタムエージェントを指定して、チャットを起動します。
q chat --agent example-agent

詳しくは、こちらのAWSブログか、Amazon Q Developer ドキュメントを参照してください。
2025年5月20日から6月20日までで開催されたAmazon Q CLIを使ってゲームを開発することで、特製Tシャツが貰えるというキャンペーンです。最終的に、キャンペーン期間は2025年6月30日まで延長されました。
https://builder.aws.com/content/2xIoduO0xhkhUApQpVUIqBFGmAc/ended-build-games-with-amazon-q-cli-and-score-a-t-shirt
どのようにゲームを作ったかについては、以下の記事を参考にしてください。ゲーム作成を通して、Amazon Q CLIの使い方や指示の方法が学べます。
https://qiita.com/issy929/items/9562187de4f93999e8d4
Amazon Q Developer とのサードパーティー統合
チャットアプリケーション内でAmazon Q を活用し、運用イベントの監視やトラブルシューティングが可能です。
Amazon Q Developer in chat applications(旧称: AWS ChatBot)を利用することで、指定したチャネルに通知し、Amazon Q Developerとチャットを行った情報の取得やAWS CLIの実行などができます。 実行できる権限は、IAMロールで制御します。
参考: Tutorial: Get started with Microsoft Teams
参考: Tutorial: Get started with Slack
AWSブログ: 2025年5月5日 Amazon Q Developer in GitHub (プレビュー) がコード生成を加速
Amazon Q Developer for GitHubを使うと、GitHubのIssueに「Amazon Q Developer agent」ラベルを付けるだけで、新機能の開発から自動コードレビューまでをAIが支援してくれます。

2025年4月17日 GitLab Duo with Amazon Q の一般提供開始のお知らせ
GitLab の DevSecOps プラットフォームに Amazon Q エージェント機能を直接組み込み、ソフトウェア開発ライフサイクル全体でAmazon Qの機能を活用できます。
ただし、以下の利用条件があります。
Amazon Q Developerを効率的に活用するためのヒントをいくつか紹介します。
具体的で明確な指示を与えることで、より正確な回答やコード生成が期待できます。 生成AIは少ない指示でもそれなりのものを作成するため、生成AIに慣れてくると曖昧な指示を行ってしまうことがあります。これが思わぬところで大きな手戻りとなってしまうことがあるため、常に明確な指示を心がけましょう。
1回の質問で終わらず、追加の質問を行なうことで、より深く、正確な情報が得られます。最初の回答をベースに、「この実装でエラーハンドリングはどう追加すれば良いですか?」といったフォローアップ質問が効果的です。
1回の指示で大量の情報を与えず、段階的に指示することで、より理解しやすく実装しやすいコードが得られます。大きな機能は小さなコンポーネントに分けて、順次実装を依頼しましょう。
作成したソースコードのレビューを実施してもらうことで、より効率的な記述方法を学ぶことができます。パフォーマンス改善や、セキュリティなどのベストプラクティスを学べます。
/docコマンドを使ってドキュメント生成機能を活用することで、既存のコードベースから自動的にドキュメントを生成でき、コードの理解および、設計書作成の時間短縮にもなります。
Amazon Q Developer は、AWS での開発・運用業務を大幅に効率化できる強力なAIアシスタントです。日本語への対応がされたことで、利用する機会が増えてくると思います。開発での利用も効果的ですが、個人的には運用業務におけるログ調査やメトリクスからの洞察を得るといった点において、非常に強力だと感じています。